先日、友達にチケットをもらって『ラ・マンチャの男』を観劇してきました!
ミュージカルを観るのは、昨年のライオンキング以来?
帝国劇場のW列という後ろから2列目かつ一番端だったので、
どんなもんかと思っていたのですが、
劇場がこぢんまりとしていたのでそれなりに見やすかったです。
特に贔屓にしている俳優さんがいるでもなく、
ミュージカルにくわしいわけでもない私の感想は……
「自分を通して見た世界こそが真実であり、そこに正しいも間違いもない」ということ。
簡単なあらすじを説明すると……
投獄された税収吏・セルバンデス(松本白鸚さん)が趣味で書いた作品を
その場にいる囚人全員で演じることになる。
※そのため、本作のほとんどは劇中劇によって進められます。
劇中劇は、
主人公のアロンソ(セルバンデスが演じている)が、騎士道に関する書籍を読みすぎて発狂してしまい、
ただの老人である自分を「騎士のドン・キホーテである」と思い込んでしまうことによって、巻き起こされるストーリー。
発狂しているアロンソのフィルターを通して見る世界では、
自分は正義のために戦う騎士ドン・キホーテであり
男たちから散々バカにされている売春婦・アルドンザのことはお姫様に見えるのだ。
このように、アロンソは第三者から見ると、「ちょっとかわいそうな老人」といった感じなのですが……。
彼がアルドンザのことを「姫」と崇めたたえたからこそ、
これまで「男性は皆一緒。売春婦である自分のことをバカにしている」(実際かなりひどい描写をされていて、同情を禁じ得ないです……。)と思っていたアルドンザは誇りを取り戻すことができ、
生まれて初めて自尊心を持つことができたのです。
発狂する=いいこと だとは周囲の「正常な」人間は誰も思わないのだけれど、
アロンソが狂人だったからこそ、
アルドンザは自分を取り戻すきっかけを得られたのです。
さらに、アロンソを「狂人」から「正常な人」に戻すためにある計画が行われ、(ここは、ぜひ劇場で見てほしい!)
その結果、アロンソは「自分は騎士などではなく、ただの老人だ……」と気づき
それまでの元気さや勢いを失い、ただ死を待つばかりの老人になってしまう。
周囲は「狂人=かわいそう、おかしいから矯正してやる。これがいいことであり、正義。」という思いを持ってアロンソ普通人化計画を実行するわけですが、
「普通の人」になったがゆえに生きる屍と化してしまったアロンソ。
そう考えると、「いいこと」って何なんでしょうね?
世の中には「いいこと」も「悪いこと」も本当は存在しないのかも。
ある程度、予習をしてから見に行きましたが
それでも後から合点がいくところや、一回ではわからなかったところもあったので
初見の方は予習をしていくことをおすすめします。
そんな背景も含め、「今、もう一回観たい……!」となっております!
おそらく、観に行く方によって本当にいろんな感想がある作品。
どんな感じ方になっても、正解や不正解、いい悪いという、二元論で切り捨ててしまうのはもったいないと思います。
素敵な作品に出会わせてくれた友人には、心から感謝!
またもう一度観にいきたい! 行くぞー!
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